H15年度 国際研究集会参加報告書

 

11回レーザー光学国際会議2003

XI International Conference on Laser Optics 2003

 

発表論文:High-Energy Particle Acceleration by High-Power Laser, S.Kawata, Q.Kong, S.Miyazaki, K.Miyauchi, J.Limpouch, A.Andreev

 

会期: 平成15年6月30日−7月4日

ロシア       都市名 サンクト・ペテルスブルグ

参加国数     39 か国 ・ 参加者数    約740 名

 

レーザー光学国際会議は、ロシアと東欧圏で開催されてきたレーザー科学と技術の専門家のための第一級の歴史ある国際会議である。レーザー光学国際会議は今回で11回を数え、サンクト・ペテエルスブルグにあるレーザー物理研究所が、ロシア政府と国際的な学会とともに、主催した。今回の会議はSt.Petersbugホテルを会場とし、全体会議と招待講演、及び一般講演・ポスター発表・展示発表からなった。今回設定されたセッションは以下の通りである: 固体レーザーと非線形周波数変換、高強度ガスレーザー、固体レーザーと通信技術、レーザー波頭制御とビーム制御、超高強度レーザーと超高速過程、レーザーと光ファイバー、医療診断応用とトモグラフィー、計測技術、fsレーザー要素技術、イメージング、他。参加者の数も約740人と多かった.多くの発表があり,この分野の研究のポテンシャルの高さを感じた.またこの分野でのロシアの研究,特にさまざまなアイデアの豊かさにも感心させられた.

日本からは12人が参加した.

 

本会議では,特に高出力ファイバーレーザーの研究開発,高強度短パルスレーザによるX線生成と高エネルギー粒子加速,アモルファス材料を含んだ固体レーザーの高効率化,太陽光励起レーザーによるエネルギー生成プロジェクトなど,が論点の中心になっていた.またアメリカで建設中のMJレーザーの開発状況について報告もあり,そのレーザービームの高品質化の成功に驚かされた.

 

 特に今回の会議でも,ファイバーレーザや太陽光励起レーザーエネルギー源・最近のCPA技術の広がりによる超高強度レーザーによる電子加速・イオン加速・ X線生成などにおいて,興味深い流れが再確認できた.ついしばらく前まででは,思いもかけないような高輝度のイオンビームバンチの生成の可能性,atto秒に迫る短パルス高密度高輝度の電子ビームの生成の可能性,高輝度X線源の可能性などがさらに鮮明に見えてきた.これらの方向でわが国でも世界に先駆けて最初に目立った成果,特に実験的な成果が出され発表されることが期待される.また,ロシアでの会議に多いが,奇抜なアイデアが大量に発表され,それらに対して会議がまじめに対応している.新たな芽を育てる雰囲気があり,ふつふつと湧き出る将来への発展の可能性を感じた.

 

上記項目にも記述したが,ファイバーレーザや太陽光励起レーザーエネルギー源・超高強度レーザーによる電子加速・イオン加速・ X線生成などにおいて,諸外国でもさまざまな新たなアイデアと方向性が議論されている.これらの研究の発展とともに,これらのアイデアなどをいかに実証するかを中心に研究のフェーズが広がろうとしていると感じた.さらにアメリカで建設中のMJレーザー(NIF)ビームの品質が高く,同様なレーザーを開発中のフランスの研究者からも驚きの声が出ていた.

 

上にも記したが,会議全体の雰囲気の中に,若い研究者の出すとっぴなアイデアや思いつきに対してまじめに対応し,多くのアイデアの中から育ってくるのをじっくり待つ雰囲気が感じられた.今の国内の雰囲気との違いを感じた.将来への芽を育てるために参考になると思われる.

ロシアのみならず経済的に困難な状況にある国の研究者から,研究上の援助の打診があった.以前より日本もこれらの研究者のサポートは続けているが,いまなおしばらくはその必要性があるようだ.